坐骨神経とは
腰からつま先まで伸びている人体の神経の一つで、人体の中で最も太くて長い神経です。
太さは1㎝~2㎝程で、長さは1m以上ある神経です。
坐骨神経は腰椎と仙骨の間から骨盤の後方を通り、お尻の梨状筋(りじょうきん)の下をくぐり、
太ももの裏側を通って膝裏でふくらはぎ側と足の甲からつま先に行く方に分かれて伸びています。
坐骨神経は下肢の感覚と運動をつかさどる神経です。
主に太ももやふくらはぎなど足の筋肉を動かす、皮膚の感覚を脳に伝える役割をしています。
坐骨神経がうまく働くことで歩く・座る・立つ・走るといった動作がスムーズに行えるのです。
坐骨神経痛とは
坐骨神経が何らかの原因によって圧迫され刺激を受けることで下半身に痛みやしびれなどの症状が生じる疾患です。
「坐骨神経痛」とは病名ではなく、あくまで症状の呼び名です。
また、神経痛と言いますが、本当に神経が傷ついているわけではありません。
症状は、腰からお尻、太ももの後ろ側などに電気が走ったような痛みを感じる方もいれば、重だるいような感じを訴える方など
症状の出方には個人差があります。
他にも、歩くと痛みが強くなり休憩すると楽になる間欠性跛行(かんけつせいはこう)や腰を反らす姿勢により
痛みが悪化することがあります。
片側の下肢にだけに症状が出る場合が多いです。
重症化すると安静時でも痛みやしびれが続き、両足に症状が出たりします。
また、排尿・排泄障害が起こることもあります。
では、どのように神経が刺激を受けるのか…
主に圧迫・炎症・血流障害・筋肉の緊張などの複数の要因があります。
1、神経の圧迫
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などにより、坐骨神経の神経根が物理的に圧迫されることで
痛みやしびれが引き起こされます。
2、炎症
圧迫されたりすると神経の周囲に炎症が起こることがあります。炎症が起こると痛み物質を放出します。
3、血流障害
長時間同じ姿勢をしていたり、筋肉の緊張などで神経周囲の血流が悪化すると、神経が酸欠状態になってしまい
刺激に敏感になります。
4、筋肉の緊張
神経周囲の深層筋が硬くなることで坐骨神経を締め付けるように圧迫が起こり、痛みやしびれを引き起こします。
主な原因疾患
・椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症
・腰椎分離症、すべり症
・梨状筋症候群
・仙腸関節障害
坐骨神経痛は上記のような疾患が原因で引き起こされることもあれば、日常生活での姿勢や動き方など
が原因になることもあります。
デスクワークや運転などで長時間座った状態が続くことでお尻の筋肉が緊張して硬くなったり、
猫背や骨盤のゆがみが神経に影響を及ぼしたりします。
運動不足や肥満、疲労やストレスなども原因要因の一つです。
坐骨神経痛は「神経がうまく働いていませんよ」と言う身体からのサインを痛みやしびれと言った症状で知らせてくれています。
少しでも痛みやしびれを感じたら放置せず早めに治療を開始することが重症化を防ぎ、早期改善へと繋がります。
■症状チェックリスト■
・お尻や太もも、ふくらはぎやつま先に痛みやしびれがある。
・腰を反らす動作をすると痛みやしびれが強くなる。
・長時間座っているとお尻が痛い。
・しばらく歩くと足が痛くなり、休憩すると楽になる
・足に力が入りにくい
・片足立ちが10秒以上できない
・排尿、排泄障害がある